生活史

芽生え

 種子が芽生える時期については、はっきりしたことは分かっていません。ただし、かなり温度が低い状態でも芽生えることから、まだ寒さの残る時期から発芽していると考えられます。

冬越し株の栄養成長

 冬越しした稈は3月に入った頃から新芽が動き始め、伸長が始まります。4月いっぱいくらいまでは成長は緩やかで3~5cm/月程度しか伸長しませんが、5月に入り暖かくなると急激に伸長量が増し、7月後半まで20~50cm/月程度のスピードで成長し、2mを越す背丈になります。

 7月後半から8月はあまり伸長しなくなりますが、地下茎の伸長や小さな稈の伸長にエネルギーを使っているほか、開花の準備を行っているものと推測されます。

繁殖成長

 9月に入ると、成長をやめていた稈が再度伸長を始めます。しかし、出てくる茎は径5㎜程度と細く、ほどなくして花序が出てきます。花は早いものは9月後半から咲き始め、10月後半にはほぼ咲きそろいます。

 咲いた花から順次種子は実り、実った小花(種子)は護頴・内頴とともに小穂から落下します。11月後半頃には、実った小花の多くが落下します。ただし、実らなかった小花は実ったもののように落下せず、小穂に残る傾向があります。

冬越し

 開花した稈は、そのまま枯れますが、開花しなかった稈は、11月後半頃から伸長をやめ、冬越しします。再度栄養成長が始まる3月頃までは、新しい葉も出ません。 ただし、色は明らかに明度が落ち、黄緑色というより緑色に近い色になります。

 冬越しした稈は枯れることはなく、翌春は同じ稈が再度伸長を始めます。